第五話

<デイデイト>

D・J購入後半年、ずっと気になっていたD・Dを買ってやろうと突然思い立ちます。

実は小学生の時のリーダイ広告にもD・Dは良く掲載されており、その一般常識を凌駕した値付けに圧倒された記憶があります。
D・Dの広告はD・Jとはまたひと味違う格好良さで世界の有名人の逸話とともに掲載されたD・Dの姿は光り輝いていました。

D・J購入後その品質の高さと精度の良さに満足したカリメロですが、圧倒的に煌びやかなYGデイデイトが欲しくて我慢できなくなったのです。
と言っても正規品は398万円という当時のクラウン3.0RSに匹敵する価格...

「うっ、こりゃ清水大ジャンプでも手が届く価格じゃねえぞ」

「そう言えば、フライデーの広告に並行ショップが掲載されてたな〜」

「どれどれ、お〜150万円...これなら貯金で買える値段じゃん!」

欲しくなったら立ち止まれないブレーキの壊れたカリメロは、現金150万を握りしめて勇躍新幹線に飛び乗ったのです。

事前の電話でD・Dの在庫とショップの場所を確認していたのですが、辿り着いた場所は赤坂TBS局近くの怪しいマンションの一室...そうです、通販専門ショップなので店舗はないんです。

事務所は結構広くて10人ほどが忙しく電話を取ってます。
それにしても怪しい雰囲気は拭い切れません。
まだ若かったカリメロはちょっとビビッてしまい入り口で引き返そうかと真剣に思いました。
フライデーにかなりの頻度で広告出しているんだから、まあ全くの偽物ってことはないだろう...と勇気を振り絞って

カリメロ:「あの〜、昨日電話したものなんですが...D・Dの件です」

店員  :「あ〜、いらっしゃい、ちょっとそこへ座って待っててくれる」

当時バブル直前なんですが、かなり注文が入ってくるようで、ひっきりなしに電話が掛かってきます。

しばし待つこと数分

店員  :「ダイヤ付きは在庫があるんだけど、ダイヤなしはすぐに取引先から引き上げてくるからちょっと待ってね、最近はこっちの3色が人気なんだよね〜、トリドールっていうんだけど、通常180万で出しているんだけど175万で良いわっ!」

そうこの人、代表者だったんです。かなり気さくな方でちょっと安心しました。

その後色々面白い話を聞かせて頂いたのですが、黎明期の並行ショップ購入実体験記は次回に続きます!

第五話

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